vol.1141 「自前の包丁」

vol.1141 「自前の包丁」
のん太鮨パセーラ店 本多 修平

ある平日のアイドルタイムのことです。熟年層のご夫婦がご来店されました。旦那様は少し強面です。いつものように吉森君が丁寧に本日のお勧めなどを説明し、お客様と談笑しながらの営業でした。

食事も終盤にさしかかった頃、強面の旦那様が魚をさばいていた吉森君に対し「その包丁は自前か?」と質問され、吉森君は「はい!みんな自前の包丁でなんです。」と説明しました。すると旦那様が、昔自分も飲食業を営んでいたことを話され、是非自分が昔使っていた包丁を吉森君に使ってほしいと言っていただきました。吉森君の丁寧な仕事に目を引かれたようです!そしてご自分のメモ帳に吉森君の名前を控えてその日は帰られました。

そして1週間もしない内にあの時の旦那様がご来店、アタッシュケースをもって吉森君を探されている姿を見る限り“吉森君はとんでもない事件に巻き込まれたのか?”と思ってしまう旦那様の迫力。いただいたアタッシュケースの中に大事に保管されてある包丁計?本。吉森君へと持って来ていただきました。
それからも何度かご来店され今では吉森君の常連様です。

良い仕事をどんな時でも意識している吉森君だからこそのエピソードだと私は思います。後輩ではありますが、尊敬できる人間です。

2015.04.21